リリー・ラ・モンターニュ

GBSの前のオーナーの友人で、うちの近所に別荘を持っているミッシェル・ファゴさんという方がいます。この方、ランス近郊のリリー・ラ・モンターニュという町でシャンパンを造っているのです。私が渡仏した頃からの知り合いで、シャンパンの話を何度かうかがった事がありました。今回、彼に会ってシャンパン造りを見せていただく事になりました。
写真左は、町の入り口の看板、写真下はファゴさんのブドウ畑です。

シャンパンの造り方は、おおまかには知っていたつもりですが、それでも新しく教えていただいた事、ファゴさん歴史などとても興味深いものでした。
最初に驚いたのは、ファゴさんの上のクラスのシャンパンは、このリリー・ラ・モンターニュの自分の畑だけで取れたもので作り、外のブドウとは混ぜてないという事です。
そしてそのブドウの搾り方。昔ながらの木の桶に入れて上から圧力をかける方法も、普通にプレスするのではなく、最小限の圧力にして外側から順に絞る方法でデリケートな果汁を作り出すそうです。古くから同じ方法で作られるだけと思っていたら、横に新しい絞るための機械があり、それは昔ながらの方法とは異なる果汁が絞れるので、シャンパンの求める方向性によって使い分けているのだそうです。
以前、カーブ、つまりシャンパンの寝かせる地下の倉庫をファゴさん自身が掘ったと聞いたことがありました。自宅の地下室なら、想像できますが、シャンパンのカーブに入ったのは初めて、ちょっと感動してしました。大きなシャンパン工場と比べれば小さい方と思いますが、それでも想像を超える大きさ、個人がコツコツと掘ったとは思えないものでした。壁はレンガが積んでありましたが、その裏は薄いグレーの粘土質、クレーと呼ばれていて、比較的もろいベトっとした土壌です。それが温度と湿度をシャンパンに最適に保つ秘訣だそうです。この土壌、シャンパン作りにはかかせないもので、ブドウもこの粘土質の土壌でシャンパンに最適な質になるそうです。


このカーブで寝かされて、完成が近くなると、蓋をあけて澱を抜く作業をします。現在は蓋の付近を凍らせてその氷と澱を抜くのですが、昔はちょうど良い角度で蓋を開けてガスの圧力で澱を飛ばしていたそうです。今回、その昔のやり方を見せてもらいました。その後、リキュールと糖分を加えてシャンパンの出来あがりとなるのです。前からリキュールと糖分を入れる前に興味があったのですが、今回、それを試飲する事ができました。で、試飲の印象ですが、かなり野性的、尖った味という表現が良いかもしれません。シャンパンの上品さはないのですが、ファゴさんは、これが土の味、これが好きにならないとシャンパンは造れないと言っていました。
ミッエシェル・ファゴさん、すでにかなりのお歳ですので、今は息子さんが後を継いでいます。お二人共、シャンパンの話となると止まらない情熱をもった方たちでした。
酒屋さんに行くと、いろいろな種類のシャンパンが置いてありますし、いくつかは飲んだ事がありますが、ファゴさんのシャンパンが一番美味しいと思っていました。フランスで最高のシャンパンの賞を取ったこともありので、本当にレベルの高いシャンパンなのでしょう。今回、その美味しさの秘密がちょっとだけ理解できたようなきがしました。
by A110ALPINE
| 2009-03-14 09:30
| コーヒーブレーク